訪日外国人観光客の「回復の波」到来の可能性
2023年10月、旅行目的で入国する外国人数がコロナ後初めて2019年の同月を超えました。
日本政府観光局(JNTO)が11月15日に発表した2023年10月の訪日外客数(日本に旅行目的で入国する外国人数)は、東南アジアや欧米豪地域等からの訪日増加等により、2019年同月比100.8%に回復しています。
国際線定期便は、2023年冬ダイヤ時点でコロナ前の約8割まで便数が回復し、その後も東アジアを中心に増便・復便が続いています。
また、23市場のうち14市場で10月として最多を記録したほか、カナダ、メキシコ、ドイツでは単月で過去最高を更新しました。
一方、「爆買い」で話題となった中国からの来日は35.1%に留まり、依然回復ペースはあまり速くありません。ただ、今年 8 月10 日に、中国政府による「日本行き団体旅行・パッケージツアー商品の販売禁止措置」が撤廃されており、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にあります。
今年8 月の日本政府による原発関連の処理水放出開始に伴う影響については注視が必要とされていますが、JNTOは、顧客接点を拡大するための方策として、
- 外部メディアを活用し、オンラインで“見つけてもらう”情報を整備する
- 自社メディア分析や外部データを活用して「どこでどう接点が増やせるか」を把握し、オンラインコミュニケーションを継続する
- JNTOのウェブサイトを訪れた日本認知層(筆者注:日本に興味のある人々)に対して地域の興味関心層を増やすために地域の詳細情報を提供する地域Webサイトへの誘導を強化する
という3点を挙げています。
このような日本の公的機関の取組もあり、今後は、訪日客によるインバウンド需要の回復というチャンスを活用する企業が急増することが期待されます。
《 森 哲郎 / 中小企業診断士 》