廃業の手続きについて
ネリサポでは、月曜日から金曜日まで起業・創業の専門相談コーナーを設けています。また、毎年「創業!ねりま塾」を開講して、起業希望者の方をご支援しています。それだけ練馬区には、自ら事業を行いたいという方が多くいらっしゃるということでしょう。
しかしながら、一方では、「後継ぎがいない」「事業の将来性がない」などの理由で、やむを得ず廃業せざるをえないという事業者の方も決して少なくないのではないでしょうか。今回は、廃業の手続きについて説明いたします。
■個人事業者の場合
個人事業者の場合は、手続きは簡単で、基本的には下記の書類を所轄税務署と管轄の都税事務所に提出することで完了します。
・個人事業の開業・廃業等届出書:すべての事業者
・所得税の「青色申告のとりやめ届出書」:青色申告の場合
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書:給与を支払っている場合
・消費税の「事業廃止届出書」:消費税の課税事業者の場合
■法人(株式会社)の場合
株式会社を廃業するには、起業するよりもさまざまな手続きを必要とします。
手順1.株主総会の決議
株主総会で会社解散の決議を行い、清算人(主に取締役)を決定します。
手順2.解散登記
廃業が決定し解散決議が行われた日から2週間以内に、法務局で登記申請を行います。また、決算書(解散時)および申告書・解散届出を税務署や都に提出します。解散後は、遅滞なく官報に「解散公告」を掲載する必要があります。
手順3.清算手続き
清算人は会社の資産を整理して、債権回収や資産の換価、債務支払いなどを行います。残った資産については出資者への分配が行われます。また債務超過の会社は、破産手続きや特別清算による清算を行わなければなりません。
手順4.清算終了登記
清算終了後、決算書(清算後)が株主総会で承認されれば、法務局で登記申請を行います。
<廃業にかかる費用>
一般的には、登記手続きで41,000円、官報公告掲載で3万円から4万円くらいですが、そのほか、専門家への報酬や設備の処分費用などがかかることがあります。
法定費用 | 解散登記:30,000円 清算人選任登記:9,000円 清算終了登記:2,000円 |
官報公告掲載費用 | 1行(22字)あたり3,589円 *9~11行程度が目安 |
専門家報酬 | 一般的に数十万円 |
その他 | 設備の処分費用、賃貸物件の原状復帰費用、解約金など |
《 前田 通孝 / 中小企業診断士 》