補助金の“ゆくえ”
事業再構築補助金は、新型コロナウィルス対策の補助金として2021年からスタートしましたが、申請された事業者の方も多いのではないでしょうか。現在第11回公募まで終了していますが、本来であれば昨年12月には公募が開始されるのではと見られた第12回については、未だに(2024年2月8日現在)開始されていません。
それは、これまでの補助金事業の状況を検証した結果について有識者による「取りまとめ」が行われ、「指摘を踏まえた見直しを行った上で公募を再開する予定」とされたことによります。「取りまとめ」は下記の通りです。
1.新型コロナ対策としての役割は終わりつつあるので、基金のうちそれにかかる部分は廃止し、もしくは抜本的に事業を構築し直すべき。
2.申請書・財務諸表の精査、四半期ごとのモニタリングといった仕組みが確立されない限り新規採択は一旦停止すべきであり、それができない場合は基金として継続する必要は認められないため、国庫返納して通常の予算措置とすべき。
3.審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分な検討が必要である。
以上については、事業再構築補助金のホームページに掲載されており、ご覧になった事業者の方も少なくないでしょう。
ただ、1.についてはともかく、2.及び3.はどういうことなのでしょうか。
これ以上何も言及されていないので、推測せざるを得ませんが、要するに、これまで補助金を交付しただけの十分な効果が見られていない、具体的には、過去の10回以上の公募を振り返ると、「補助金を活用し大胆な事業再構築を図ることで、売上高や利益を拡大する」という当補助金の目的が必ずしも達成されていないので、申請書(事業計画書)・財務状況の精査や審査の厳格化を図るとともに、補助金交付後の経営や事業動向をきちんとモニタリングする仕組みが確立されるまでは、公募再開を見合わせるということでしょう。
再開されるのか、11回で終了するのかは分かりません。ただ、今後は、事業再構築補助金だけでなく、他の補助金についても「費用対効果」の観点から、同様の見直しが行われる可能性は十分あるかと思います。
補助金の活用を考えている事業者のみなさまには、それぞれの補助金の趣旨を十分理解して応募すること、公募要領を熟読し公募要領に沿った事業計画書を作成すること、事業計画書は実現可能でその過程・手順が具体的であること、などが一層求められるのではないでしょうか。
《 前田 通孝 / 中小企業診断士 》