資金繰りが厳しいと感じ始めたら
「なにか最近いつものように売上が伸びないな」、「仕入れ価格があがり支払が多くなってきたな」と嘆じている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうです。その感覚が大切なのです。「今までなんとか、やれてきたから大丈夫だろう」と考えられる経営者の方も若干いらっしゃいます。しかし人口減少でマーケットが縮小する中、従来の考え方では難しい局面もあります。
そこで今回は、資金ショートに陥る前の心構えとして取引先、関係先との調整についてご紹介します。
資金ショートとは収支のバランスが崩れ、今後の支払いに必要な資金が不足する状態をいいます。例えば、手持ちの資金が不足し、商品の仕入れ費用などの、社外への支払いが滞ってしまう場合などです。
このような状態になった場合、以下のステップで相談してみてください
①年金事務所
②金融機関
③取引先への支払、給料
①年金事務所
社会保険料の支払先です。社会保険料を滞納すると躊躇なく差押えを受けます。
差押えが金融機関に知られると、金融機関との取引に影響を与えます。
現状を正しく説明し、分納等の相談をしてください。
年金事務所は公的機関のため、無理難題を言われることは少ないでしょう。
②金融機関
経営者の中には、金融機関との取引の影響を恐れて、金融機関への支払を優先し従業員の給料を減らして、返済資金を確保するとお考えの方もいらっしゃると思います。
これは逆効果です。従業員のモチベーションも下がり、離職も増え従来の企業活動に支障をきたす可能性があります。
金融機関には、現状を正しく説明し、返済相談をすることをお勧めします。
金融機関は、今までの取引先を潰すよりも共に現状を打破して通常の取引に移行することが、お互いにWIN WINの関係性になることを理解しています。
金融機関は返済相談を数多く受けているため、相談のハードルは高くありません。
金融機関との取引に影響がでるのが心配で躊躇される方もいると思いますが、思い切って相談してください。企業存続のための適切なアドバイスがあると思います。
③取引先への支払、給料
取引先への支払や給料に手を付けると、信用不安が一気に広まり業績が傾きます。
この段階になると公的手続き等の検討が必要になります。
このような状況に陥らないよう日々の資金繰りに注意し、事業活動に取り組んでください。
《 深町 一隆 /中小企業診断士 》