社労士から見た財務の基礎知識 1

 「営業利益が会社の本業の利益」と聞いたことがある経営者もいると思います。損益計算書の中で、売上高から仕入等売上原価を控除した売上総利益(粗利)、さらに、販売費・人件費・維持費等固定費(販管費)を控除したものを営業利益といいます。つまり、営業利益とは「本業でどれだけ利益を出したか」という会社の実力を見る上で重要な指標となります。

 営業利益を改善するポイントの一つとして、人件費の見直しがあります。しかし、賃金を減額すると従業員のモチベーション低下に繋がりますので、従業員の賃金カットは避けたいものです。だからといって売上が増加しないのに、簡単に賃金アップはできません。本業が赤字では、資金調達も困難になり、銀行から叱られます。現実は厳しく、経営者は悩ましいですよね。

もしも、就業規則や賃金規程を見直しする際に、会社の財務内容や事業計画と切り離して作成してしまうと、そもそも賃金を支払う原資があるのかないのかわからなくなってしまいます。最近、賃金アップが話題になる中で、賃金を減少させることは、従業員のやる気を損なうことになります。労働契約法上も、労働条件の不利益変更として原則労働者の同意が必要であり、労使の交渉は困難になります。

就業規則や賃金規程を作成するときには、会社の収益力や事業の今後の見込み、現状の財務状態を把握し、適正な人件費の総枠を長期的に考える必要があります。会社の収益力増加が従業員の賃金アップに反映するのが、今の時代に求められる会社のあり方とも考えられます。人手不足・人材不足と騒がれる現在、人材流出防止のためにも就業規則の見直しは必要です。大企業のような複雑なものでなくても、会社の事業規模に合った就業規則や賃金規程となるよう定期的に見直しをしましょう。

《 加治 直樹 / 特定社会保険労務士 》