もう一度キャッシュレスを考えてみましょう

 現金崇拝の意識が強い日本でも、キャッシュレスへの移行は着実に進んでおり、消費税の引き上げ後の消費喚起対策の一つとしてのキャッシュレス・ポイント還元事業が展開されているのはご存知の通りです。

キャッシュレスは、「レジ締めや現金取り扱い時間の短縮など経費削減や人手不足対策になること」「現金があることによる盗難や紛失のリスクが軽減すること」「インバウンド需要の取り込みにプラスであること」などのメリットがある一方、決済手数料や端末代などの費用がかさむという理由でキャッシュレスに二の足を踏んでいる中小・小規模事業者の方も少なくありません。

 従来のクレジットカードやSUICAなど交通系ICカードのほか、最近は○○ペイと呼ばれるQRコード決済が増えていることも周知のとおりですが、QRコード決済には、「従来型のキャッシュレスに比べると決済手数料が安いこと」「端末などの初期費用が安いこと(方式によっては端末も不要)」「入金までのタイムラグが短いこと」などのメリットがあるのです。また、キャッシュレスを導入することで顧客が増えるのであれば、決済手数料などの費用を販促費用と考える発想の転換も必要かもしれません。

 最近、一部の事業者で問題が起きるなどキャッシュレスに水を差すようなことがあったり、今の“キャッシュレスブーム”は還元事業が終了すれば収まるという見方もあったりしますが、長い目で見れば消費者のキャッシュレス志向はこれから一層進むでしょう。

提供している商品やサービス、立地などそれぞれの事情に応じて、キャッシュレス導入そのものの是非を、あるいはどの決済方法が適しているかなどもう一度キャッシュレスを考えてみたらいかがでしょうか。

《 前田 通孝 / 中小企業診断士 》