社労士から見た財務の基礎知識 5

 今年度は、最低賃金を全国加重平均で26円引き上げるとの目安が、厚生労働省から発表されました。中小企業にとっては毎年最低賃金が引き上げられ、人件費の増加による利益の縮小など悩ましい問題であります。

 会社を経営する上で「人件費」は重要な要素となります。結婚や住宅の購入、出産から教育費の負担等、従業員のライフサイクルを考えると、定期昇給が無ければ生活もままならないということになります。自社の従業員の年齢構成や男女比、配偶者や子どもの有無によって賃金カーブも変化していくことになります。人手不足の解消や人材流出を防止するためにも、賃金規程や退職金制度の見直しは必要となります。

企業にとって事業を継続し業容拡大を図るためには、中長期の事業計画を常に検討し、時代に合った計画となるよう改善していく必要があります。従業員一人ひとりの賃金カーブを踏まえた上で、人件費総額が将来どのように変化していくかも計算して、給与体系を考えなければなりません。

 働き方改革を考える上で重要な要素となる「人件費」と「生産性」は切っても切れない関係にあります。今一度、自社の賃金規程や退職金規程の見直しを検討しましょう。

《 加治 直樹 / 特定社会保険労務士 》