社労士から見た財務の基礎知識 8
起業するときの手続きの相談を受けることがあります。最初から法人とするか個人事業主とするかの判断に迷うこともあると思います。法人のメリットは、一般的に、①信用力が高い②税制面でのメリット③健康保険・厚生年金保険に加入できる④事業用資産の分別管理⑤資金調達面などがあげられます。その分、①会計帳簿の作成等が複雑②資本金等初期費用がかかる③社会保険料や顧問報酬など維持コストがかかるというデメリットもあります。
最も重要なのは、事業計画や経営ビジョンの作成です。通常、創業事業計画は、創業前の売上見込みをもとに3年から5年で創業赤字を解消できるイメージで作成していきます。特に金融機関から融資を受ける場合には、事業計画の作成は必須となります。中長期のビジョンがないと創業融資を受けたが返済できずに資金繰りで苦労し、本業どころではなくなることも考えられます。常時事業計画の進捗と足元の業況を照らし合わせて、事業計画を修正していく必要があります。
創業当初は経費の増加を極力抑える必要があります。しかし、経営面で相談できるブレーンは必要であり、中長期の経営面でのアドバイスができる人が必要となります。企業規模が大きくなれば専門部署を社内で作れますが、創業当初はそうはいきません。第三者の従業員を雇う規模になったら、できるだけ事業計画や経営財務の相談ができるブレーンを作るようにしましょう。
《 加治 直樹 / 特定社会保険労務士 》