ハラスメント相談窓口設置義務化

改正された「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(以下「労働施策総合推進法」という)に基づく職場におけるパワーハラスメントの防止のために事業主が講ずべき雇用管理上の措置義務が、令和4年4月1日から中小事業主でも完全義務化されます。(令和4年3月までは努力義務)

措置義務の一つ、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」については、中小事業主にとってはハードルが高く感じられるかもしれません。

『平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書』によると、パワーハラスメントを受けた当事者がその後どのような対応をしたかを質問したところ、「何もしなかった」が 40.9%と最も多くなっています。

なぜ、「何もしなかった」のか?「加害者からの報復が怖い」、「相談したことで会社から不利益な取り扱いを受けるのではないか」、「相談しても何も変わらないと思った」理由はいろいろです。せっかく必要な体制を整備しても利用されない、これは残念です。

ハラスメントが発生しない職場環境を作ることはもちろん重要なのですが、いざ発生したときに役に立つ「機能する相談窓口」を設置することもとても重要です。決して簡単なことではありませんが、各事業所の実態に合った相談体制の整備を目指しましょう。

《 茅根 真由美 / 特定社会保険労務士 》