精神障害の労災発生

令和2年度、精神障害で労災認定され支給決定に至った件数は全国で608件。このうち、出来事(※)別の支給決定件数は、パワハラ、セクハラ、対人関係のトラブルで計237件にのぼります。

(※「出来事」とは精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において、一定の事象を類型化したもの)

中でもパワハラは99件と最も多く、看過できない状況です。精神障害発生には過重労働との関係も注視されますが、調査では時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数は「20時間未満」が68件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が56件です。パワハラやセクハラ、対人関係のトラブルと長時間の時間外労働が複合的に発生しているケースも少なくないと考えられます。パワハラ等の防止措置と、時間外労働の削減、この2つのポイントは労災による精神障害発生を防止するための最重要事項になると考えます。

※参考:厚生労働省「令和2年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19299.html

《 茅根 真由美 / 特定社会保険労務士 》