補助金の申請にあたって
中小企業・小規模事業者向けの補助金は、事業者のみなさまが販路拡大、新規事業への進出、事業の再構築などを行う際の重要な資金調達の一つですが、基本的には申請時に事業計画書を作成してその審査を受け、採択されることが必要です。ここでは、その事業計画書を作成する際のポイントをまとめてみました。
1.それぞれの補助金の目的・趣旨に沿っていること
補助金にはそれぞれ目的や趣旨があり、補助金を活用して行おうする取り組みが、その補助金の目的や趣旨に沿っていなければなりません。極端な例ですが、「新事業の展開」を支援する目的の補助金であるにも関わらず、「既存事業の拡大」のためにその補助金を申請したら、いくら事業計画書が立派であっても採択されることはありません。
そうならないためには、補助金ごとに出される「公募要領」を熟読し、補助金を活用して取り組もうとしていることが、その目的や趣旨に沿っているかを見極めましょう。なお、補助金によっては、公募要領に「審査項目」が記載されていますが、補助金の目的や趣旨はここに具体化されているとも言えるでしょう。
2.補助金で行う事業に実現性があること
事業のアイデア、コンセプト、あるいはビジネスモデルと言われるものがいくら立派であっても、それを実現できる可能性、具体的には「ヒト、モノ、カネ」といわれる経営資源、その事業を実行するにあたっての綿密なスケジュール、そして根拠や裏付けがある収益(売上高)計画が不十分ですと、実現性があるとはみなされません。
3.わかりやすい事業計画書であること
通常、審査員は、補助金によっては10ページから15ページ以上の事業計画書を限られた時間で読み、しかも多くの件数を審査します。そこで重要なのは(補助金だけに限りませんが)わかりやすい又読みやすい事業計画書を作成する必要があります。全体のストーリー性や文章の論理の展開に気を配るとともに、写真・図表・グラフなどビジュアルに訴えることなどに加え、審査員は必ずしもその業界の専門家ではありませんので、「専門用語」「業界用語」などはできる限り分かりやすく説明するなどの配慮が必要です。
なお、最近は、電子申請による申請が一般的になってきており、補助金によっては電子申請のみのものもあります。電子申請には、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要ですので、今後補助金申請を考えている方は、事前に取得しておくことを勧めます。
《 前田 通孝 / 中小企業診断士 》