人事制度がもたらすもの
人事制度とは一般的に、等級制度・賃金制度・評価制度、これら3つの制度のことを指しています。
中小企業白書の中に、人事評価制度の有無を従業員規模別で見た統計データがあります。
5~20人の企業で35%、21~50人の企業で57.2%、51人~100人の企業で72.5%、101人以上の企業で87.2%となっています。(2022年版中小企業白書P45)
企業規模が大きくなるにつれ、導入率は高くなるものの、小規模の企業でも35%の導入率となっていることから、人事制度はもはや大企業だけではなく、多くの中小企業でも導入しているものになってきているのです。
なぜ人事制度を導入するのか、導入した先に何があるのか、それを示したデータもあります。
人事評価制度の有無別に見た売上高増加率を見ると、どの従業員規模の企業でも、人事評価制度があると答えた企業の方が、ないと答えた企業より、売上高増加率が高いことが示されています。(2022年版中小企業白書P47)
これはただ単純に人事評価制度を導入しただけで売上高増加率が上がったと見るのではありません。人事評価制度をちゃんと運用できたことにより、企業の中にいる人材が育成され、そして企業風土が醸成された結果、売上高増加率に結び付いた、企業の底上げがなされた、ということをご理解いただきたいのです。
人事制度は、大抵は給与や賞与などの処遇決定のためにあるものと思っている方が多くいますが、本質はそうではありません。人事制度がもたらすもの、それは人材育成、そして企業風土の醸成なのです。それが離職率低下、採用強化へも繋がり、結果として企業の業績向上へ繋がる事だということを、多くの経営者に知っていただけたらと思います。
人事評価制度の統計データについては、以下中小企業白書に掲載されておりますので、ご参考にご覧になってみてください。
2022年版 中小企業白書_『第2章 企業の成長を促す経営力と組織』
《 木皿直己 / 社会保険労務士 》