融資審査の基礎を知る!知っておきたい2つの観点
金融機関に融資を申込んだ際、金融機関は2つの観点から審査を行います。「①企業自体の審査」と「②融資案件の審査」です。2つの観点の目的とポイントは以下の通りです。
<目的>
①企業自体の審査 :融資取引を「開始する・継続する・深める」対象先になるかどうかを見極める
②融資案件の審査 :問題なく返済されるか、融資対応する妥当性があるか見極める
<ポイント>
①企業自体の審査
■事業性(事業の継続性や将来性)があるか
- 市場や競合の状況は問題ないか
- 十分な強み(=存続している理由)や顧客基盤を有しているか
■財務状況に問題はないか
- 利益を安定的に生んでいるか
- 利益の蓄積が行われているか
- 借入金と利益のバランスは問題ないか
■融資先として行うべき管理が可能か
- 円滑にコミュニケーションを取れるか
- 積極的な情報開示(※)が受けられるか
※決算書の付属資料や試算表、受注明細等の社内管理資料
②融資案件の審査
■(金融機関それぞれの)審査基準を逸脱しないか
- 融資したお金の使い道が適切か
- 融資期間が妥当か
- 採算を確保できる金利水準か
■返済原資(返すお金)は確保していけるか
- 利益と比べて融資金額が多過ぎないか
- 事業計画等は現実的なものか
■自分のところが融資対応する妥当性はあるか
- 融資以外の取引(預金取引、売上回収金の入金、振込等)は充実しているか
- 他の金融機関とのバランスが取れているか(※)
※融資取引のシェアが他の金融機関と比べて高くなり過ぎないか
なお、ここで重要なのはあくまでも順序は「①企業自体の審査」⇒「②融資案件の審査」という点です。つまり、①をクリアしないと②を行う土台に上がらないということです。
融資の相談をする時、どうしても融資案件自体の話に重きを置いてしまいます。①の部分について金融機関の理解を既に得られているのであれば、それでも問題ありません。
一方そうでない場合は、まずは①の部分について金融機関に理解を深めてもらうように説明すると良いです。例えば、現時点で財務状況が芳しくなければ、今後の財務の見通しや事業性について(希望的観測ではなく)論理的に説明すると良いでしょう。
《 森川 泰裕 / 中小企業診断士 》