顧客が受け入れる価格とは
日々の買い物などで、無意識に「これは安く済ませたい」「ここはお金をかけてもいい」と判断していることに気付いたことはありますか?
実は、こうした無意識の判断には「メンタルアカウンティング(心の家計簿 / 心の会計)」という心理的なメカニズムが働いています。
メンタルアカウンティングとは、消費者が無意識のうちにお金を心の中で分類し、その分類に応じて異なる価値判断や使い方をする心理傾向のことです。
旅行先のお食事で、「せっかくの旅行だし、高くてもここでしか食べられないものや思い出に残るものがいいな」と奮発してしまったことはありませんか?
日常では「生活必需品」として節約を心がける食事でも、旅行中であれば「思い出作り」「ご褒美」などの別のカテゴリーに移り、支出への姿勢・考えが変わるのです。
この心理現象をみなさんのビジネスにも活用することで、より高い価格でも顧客に受け入れてもらうことが可能です。
たとえば、LEGOというブロック玩具について、玩具としてみるとちょっと高いかなと思いますが、LEGOは知育教材でもあるというイメージを確立しています。これにより、消費者の心の中でLEGOが「おもちゃ」ではなく、「教育のための投資」に分類されるため、価格が高くても納得されるのです。
このように商品やサービスのセールスポイント、打ち出し方を工夫することで、顧客の「心の家計簿」において高価でも受け入れられるカテゴリーに移すことができます。
みなさんの商品やサービスは、お客様の心の家計簿の中でどのようなカテゴリーに位置づけると良いでしょうか?
セールスポイントの打ち出し方や価格設定を検討する際に、ぜひこの視点を取り入れてみてください。
《 熊谷 友貴 / 中小企業診断士 》