商品のライフサイクルを踏まえた経営

商品にはライフサイクルがあります。特に小売業や最終品製造業(ファブレスメーカー含む)ではこれを踏まえた経営が必要です。ライフサイクルは導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つに分かれます。

<商品のライフサイクル>
・導入期:新商品として発売後、まだ認知が少ない。売上が少しずつ上がってくる局面
・成長期:認知が拡大し、売上が大きく伸びる局面
・成熟期:伸び率が鈍化し、頭打ちとなる局面
・衰退期:ある程度求める方々に行き渡り、売上が減少に転じる局面

そして、これを踏まえた経営のポイントは以下の3つです。
主力商品への売上依存度が高い場合は、特に意識をすると良いでしょう。

1.仕入量や生産量
需要があるのに在庫がないと販売機会を逸してしまいます。一方で、思った程売れないと在庫が増えて資金繰りを圧迫します。成長期においては「今年これだけ売れたから、来年はもっと売れるだろう」と思いがちです。そうすると多くの仕入や生産を行ってしまいます。しかし、結果として「思ったほど売れなかった」ということはよくあります。

現実的に「精緻な販売予測」をすることは困難です。一方で「いずれ成熟期や衰退期が訪れる」ことは念頭に置く必要があります。対応方法としては、1度に仕入れる数量や生産する数量を抑えて、頻度を多くする等が考えられます(※)。これにより、在庫の積み上がりによる資金繰りの悪化リスクを抑制することができるでしょう。
※コストは上昇する可能性が高いので、利益率とのバランスも考慮する必要があります

2.プロモーション
成熟期や衰退期では、ニーズが強い層は既に刈り取ってしまっている状態であると想定されます。そのような中、成長期と同じプロモーションを実施すると費用対効果は悪くなるでしょう。そのため、費用の掛からないプロモーションに変えたり、より潜在層を掘り起こすような内容にしたりする等の対応が必要です。

3.売上の維持・拡大
衰退期を迎えるとその商品の売上は減少します。そのため、売上高を維持・拡大していくためには継続的に新商品を投入し、その減少を補っていくことが不可欠です。以下がそのイメージです。

《 森川 泰裕 / 中小企業診断士 》