中小企業診断士が巡る、練馬の街 〜シルバーアクセサリー制作・象屋〜

ジュエリー職人・デザイナーとして約15年の経験を持つ土方さんは2025年10月にシルバーアクセサリーの制作事業で起業した。現在、シルバーアクセサリーやジュエリーのOEMを請け負っている他、2026年4月には自社ブランド「LOA」を本格始動する予定だ。

事業者情報

屋号  :象屋
代表者 :土方 祥典
所在地 :東京都練馬区関町南
事業内容:シルバーアクセサリーの制作・販売

Instagramアカウント

豊富な経験と確かな技術を有するジュエリー職人

土方さんは服飾専門学校卒業後、シルバーアクセサリーの販売に従事。その後、ハイジュエリーメーカーにおいて商品企画と制作に約12年、ブライダルジュエリーメーカーにおいて生産管理と制作に約3年間従事した。ジュエリー業界の業務を幅広く経験しつつも「職人」としての経験が最も長く、国家資格である「1級貴金属装身具製作技能士」を保有している。

代表の土方祥典さん
代表の土方祥典さん

クリエイティブな発想を大切にしたい

アパレル業界では独立したフリーのデザイナーが次々と活躍しているが、ジュエリー業界では独立までのハードルが高いと感じる人が少なくない。クリエイティブな要素を重視するというより、昔ながらのやり方を重視する保守的な風土が業界にある。そのような中、「クリエイティブな発想の手助けをしたい、クリエイティブな発想を大切にした自分の商品を世の中に出したい」という想いで独立・開業した。

シルバーアクセサリー、ジュエリーのOEM

OEMではお客さまが企画した商品を制作する。デザインを忠実に再現する必要があるため、高い技術力が求められる。シルバーアクセサリーの主な制作工程は以下の通りである。

<制作工程>
①ワックスを削り原型を作る
②原型をもとに鋳造する(金属を溶かして型に流し込み製品を作る加工法) ※外注
③表面を滑らかにし、光沢を出すために研磨する
④リング等の本体に石留めする(穴あけ→ダイヤ等の座りを調整→肉寄せ→バリ取り)

ワックスを削り原型を作る
ワックスの原型
下が研磨前、上が研磨後

特に難易度の高い工程は石留めの工程である。石を本体にフィットさせるために0.05mm単位の作業が必要となる。また、シルバー、金、プラチナ等の素材によって最適な工具と方法を選定する必要がある。15年の職人歴の中で培った技術力とノウハウによってこれらを実現し、確かな品質でお客さまの期待に応えている。

0.05mm単位の精度が求められる石留め工程
0.05mm単位の精度が求められる石留め工程

自社ブランド「LOA」の展開

ブランド名「LOA」は「Like Jewelry」、「OutFit」、「Authentic」の頭文字である。このブランド名には「ジュエリーのようにコーディネートできる本格的なシルバーアクセサリーを提供したい」という土方さんの想いが込められている。また、ハイブランドのジュエリーではデザインだけではなく、美術的・文化的なストーリーが大切にされている。「LOA」でもこのような美術的価値や文化的価値を大切にした商品を展開している。
例えば代表作である「ランドクローバー」はイギリスの庭園のクローバー群生地とそこに生える四葉のクローバーをイメージした作品である。中央で四葉を表現するイエローダイヤは四葉の4つの意味に合わせ色味が異なるものを使用している。
自社ブランドは2026年4月に開催される繊研新聞社主催の展示会「PLUG IN」への出展を予定している。

「LOA」のランドクローバー
「LOA」のランドクローバー

まとめ

クリエイティブな発想力とそれを形にするデザイン力・技術力を兼ね備えている代表の土方さん。インタビューでは常に柔らかな表情で丁寧にお話しくださる等、その人柄の良さも印象的でした。
自社ブランド「LOA」はシルバーアクセサリーの新たな選択肢となるブランドであり、今後の益々の成長が期待されます。

中小企業診断士 森川泰裕