困ったときのヒント

最近、事業者さんとの面談でお伺いした中から、経営におけるお困りごとの実例をいくつかをご紹介します。

ケースA
「当社のような下請けでは元請からの注文次第で業績が振れる。現状、製品の価格や品質に問題はないが、要求される納期がどんどん短くなっている」

ケースB
「事業承継については、ずっと気になっていたけれど誰も相談する人がいなくてなかなか考えることができなかった。それが最近病気になり、先行きが不安になったので今回やっと相談に踏み切ることができた」

ケースC
「売上をもっと上げたいのだけれど、人手が足りない。営業は自分(社長)だけしかやっていない。代理店に頼んでもなかなか動いてくれない」

ケースD
「飲食店で、調理にしても接客にしても、アルバイトだからかなかなかスキルがあがらない。教えてもすぐに辞められたら時間が無駄になるし、教えたことも身に付かない」

共通するのは
「困っている」→「自分で考える」→「解決策が見えない」→「困っている」という悪循環です。まずは製造現場における的確な課題抽出と効果的な業務改善の手法として知られている「ECRSの4原則」という方策を考え、以下のように活用してみてはいかがでしょうか。

Eliminate(排除)⇒業務を無くすことはできないか

ケースA
納期を短縮させるために工程を減らすことはできますか?とお伺いしたところ、品質検査を二重で行っていたなどいくつか出てきましたので、製造工程を見直してもらい、省力化により納期短縮、さらにスタッフも他ラインに異動させ生産量が増加しました。

Combine(結合)⇒課題を1つにまとめられないか

ケースB
事業承継を考える際にまず後継者はいるか、承継に際して資金は必要か、承継した後の事業展開はどうかなど、会社全体のことを考え、様々な角度から会社の課題を結合、見える化により、承継にとどまらず経営者の不安が軽減しました。

Rearrange(組み換え)⇒業務の順序や場所などを入れ替えられないか

ケースC 
新製品を開発し、製品化して販売するというこれまでのフローを、インターネットなどを通じて直接顧客からの要望を聞き、その要望に応えられる製品をカスタマイズさせ納品するフローに変えた結果、営業による新規顧客開拓から顧客要望による新規製品開発に転換できました。初めから直接顧客とつながることで、より効率的に顧客が求める商品を提供できるようになり、限られた人員体制の中でも売上を増やすことができました。

Simplify(簡素化)⇒業務を単純にできないか

ケースD 
アルバイトにはまず基本的な接客、調理の下ごしらえなど、既存のスタッフが教えられる仕事を任せる。学ぶ仕事を簡素化させることで退職も減らせ、その上でできる分野を少しずつ広げていくことでスキルを増やし、保有スキルの量と時給を連動させるなどでインセンティブをあげられました。

《 飯泉 悟 / 中小企業診断士 》