ストレスチェックの実施義務が50人未満の事業場にも拡大に

11月6日に開催された労働政策審議会安全衛生分科会にて、50人未満の事業場へのストレスチェック実施を義務化される案が示され、概ね了承されました。

◆11月6日労働政策審議会安全衛生分科会資料https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44958.html

ストレスチェック制度の創設時と比べ、精神障害の労災支給決定件数が約2倍に増加している一方で、従業員50人未満の事業場ではメンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合が低いことから、実施義務範囲の拡大案が示された形です。

今後は厚生労働省が報告書をまとめ、来年の通常国会に労働安全衛生法の改正法案が提出される見通しとなっています。

案では、

  • 定期健康診断と同様、50人未満の事業場では実施結果の監督署への報告義務は課さない。
  • プライバシー保護を含め、現実的で実効性のある実施体制・実施方法についてのマニュアルを国が作成する。
  • 支援体制の整備、制度の周知、事業場における実施体制の整備に要する期間を確保等のため、施行までに十分な準備期間を設ける。

といった方向性が示されています。

従業員が病気やストレスなどの健康問題を抱えながらも出勤し、結果として生産性が低下する現象は、プレゼンティーズム(Presenteeism)と呼ばれます。

プレゼンティーズムが続くと、従業員の長期的な健康に悪影響を及ぼし、最終的には離職や休職につながるだけでなく、職場全体の雰囲気が悪化し、他の従業員にも悪影響を及ぼすということも考えられます。

これを機に、従業員の健康を維持し、生産性の向上、離職率低下、企業イメージアップにつながる取り組みである健康経営を経営に取り込むのはいかがでしょうか。

《 堅持 博 / 社会保険労務士・健康経営エキスパートアドバイザー 》