勝ち方をイメージできていますか?
事業を成功に導くために、「何を売るか?」を真剣に考えるのはもちろんのこと、それと同じくらい「どう売るか?」も重要です。この「どう売るか?」の部分こそが、いわゆる「勝ち方」にあたり、適切な勝ち方を設定できるかどうかが、ビジネスの成否を左右します。
なぜ「どう売るか?」が重要なのか?
市場には競合がひしめいています。同じような商品・サービスが多数ある中で、自社の提供するものを選んでもらうには、消費者の頭の中に「優位なポジショニング(イメージ)」を植えつけることが不可欠です。
例えば、コンビニコーヒーが普及する以前、手軽に美味しいコーヒーを飲む選択肢は限られていました。しかし、セブンイレブンが「高品質で低価格のコーヒー」というポジションを確立すると、消費者の頭の中に「コンビニで本格コーヒーが飲める」という新しい認識が生まれました。これこそが「どう売るか?」の成功例です。
筋の良い勝ち方とは?
「どう売るか?」の戦略が成功するかどうかは、筋の良い勝ち方を設定できるかにかかっています。ここで重要になるのが、「WHO(ターゲットニーズ)」×「WHAT(自社の提供価値)」の掛け算です。
具体例を挙げると、
- 「健康志向の高い30代女性(WHO)」に対して、「ヘルシーな食生活を楽しめる喜び(WHAT)」を提供する。
- 「忙しい共働き世帯の親(WHO)」に対して、「手軽に栄養バランスの取れた食事を用意できる安心感(WHAT)」を提供する。
このように、ターゲットのニーズと自社が提供できるポジティブな経験が明確に掛け合わさっているほど、勝ち方の筋は良くなります。
勝ち方が決まればマーケティング施策が活きる
マーケティング施策は、設定した勝ち方を実現するための手段です。そのため、勝ち方が定まっていなければ、どんなに優れたマーケティング施策を講じても、無駄になってしまう可能性が高いのです。
例えば、SNS広告を活用しようとしても、「消費者にどのようなイメージで認識してもらうことが自社にとって一番有効か?」が明確でなければ、ターゲットの心に響くメッセージを作ることはできません。また、店舗を持つ事業者なら、「来店時にどのような体験を提供し、どのような印象を持ち帰ってもらうか?」が勝ち方と一致していなければ、リピーター獲得につながりません。
どう売るか?を考え続ける重要性
「どう売るか?」という論点は、ビジネスを継続する上でしっかり向き合い続ける必要があります。市場環境や消費者のニーズは常に変化するため、一度設定した勝ち方も定期的に見直し、最適化することが求められます。
また、これから創業する方にとっては、「何を売るか?」と「どう売るか?」を並行して考えることで、一貫性のある事業としてスタートできます。商品の魅力を最大限に活かしながら、ターゲットに響く売り方を設計することが成功への第一歩となります。
まとめ
勝ち方とは、単なる販売手法ではなく、事業の根幹となる考え方です。「どう売るか?」を真剣に考え、それをマーケティング施策に落とし込むことで、事業はより強固なものになります。
みなさんのビジネスの「勝ち方」は明確ですか?今一度、自社のターゲットと提供価値の掛け合わせを見直し、筋の良い勝ち方を設定してみてください。
《 平林丈晴 / 中小企業診断士 》