「IT活用で強い経営基盤を築く(粗利益の最大化)」

事業環境が大きく変化する中で、持続的な成長を実現するためには、「粗利益」(売上高・売上原価)は、事業の収益性を測る最も重要な指標の一つです。粗利益率が高いほど、本業でしっかりと稼げていることを意味します。

粗利益の最大化のメリット

・資金繰りの安定化:粗利益が確保できれば、固定費や借入金返済などの費用をまかなうための資金を確保しやすくなります。

・投資余力の創出:新規事業への投資、人材育成、設備増強など、将来の成長に向けた投資

に回せる資金を確保しやすくなります。

・価格競争力の強化:粗利益率が高ければ、多少の価格変動にも耐えうることができ、価格競争において優位に立てる可能性があります。

ITを活用して粗利益を増やす方法

 ITは無駄を排除して、効率的な経営を実現する強力なツールとなります。

1.売上原価の低減

仕入・在庫の最適化を目指して、「受発注システム」を導入し、リアルタイムで受発注状況を把握して、過剰在庫や欠品を防止することにより、仕入れコストを最適化します。また、クラウドベースのシステムを利用することで初期投資の費用を抑えつつ、在庫の見える化と適正化を実現できる可能性があります。

2.販売単価の向上

 ITは顧客理解を深め、よりパーソナルなアプローチを可能にすることで、販売単価の向上に貢献できます。

 顧客管理システムを導入し、顧客の購買履歴、問い合わせ内容、Webサイトの閲覧履歴などを一元管理して、顧客のニーズの把握やニーズに合った販促企画に活用できます。また、顧客の行動履歴に基づいて自動的にメール配信やWebサイトのコンテンツ表示を最適化し、顧客の興味を引きつけます。

3.効率的な販売促進

 粗利益を重視するからといって売上高が不要なわけではありません。ITを活用して、効率的に売上高を伸ばすことも重要です。

 Webサイト、ECサイトの最適化により、顧客のWeb上での利便性を向上させて、見込客の獲得と売上増を目指します。

 IT活用と聞くと大がかりに感じるかもしれませんが、まずは、自社の課題を洗い出し、小さなことからはじめてみてください。

《 中川 浩一 / 中小企業診断士 》