事業承継を機に事業をIT化
2024年版中小企業白書では、(株)日本政策金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査(2023年調査)」が紹介されています。ここでは後継者決定企業の課題として「後継者の経営能力」が28%でトップにあげられています。
現経営者の親族に承継する場合、後継者は大企業での勤務経験がありIT活用など最新のビジネスツールに知見があるケースが多いようです。しかしながら引き継いだ企業の業務内容については初心者で、一から学ぶ必要があります。同業種の経験がある場合でも、大企業の手法を経営資源に制約がある中小企業にそのまま持ち込むと整合性がとれないこともあります。いずれにしても現状業務の把握は事業継承にあたり「後継者の経営能力」向上の第一歩といえます。
現状業務把握のためには業務の可視化が有効です。可視化の過程で従業員とのコミュニケーションを深め、作業のモジュール化・マニュアル化を図ることでIT導入も容易になります。作業や業務のIT化が進めば、データの蓄積・分析で新規事業の創出やシナジー効果を追求した事業拡大を行う道筋も見えてきます。サプライチェーンとの連携によりネットビジネスとして新たなビジネスモデルに転換することもその一例です。
中小企業白書では様々な事例が掲載されています。異業種の事例も差別化のために役立つことがありますので参考にしてみてください。
《 小泉 謙治 / 中小企業診断士 》