社員のITリテラシー(ITに関する言葉を理解し使いこなす能力)を高めるには
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が盛んに報じられています。DXによる業務効率化や競争力強化が進み、成果を上げている事例も増えつつあります。
一方で、多くの中小企業ではDXに着手する前の段階で足踏みしているケースも少なくありません。中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査」(下図参照)によると、DX推進における課題の上位にはDXやITに関わる人材がいないことが挙げられています。実際に、「表計算やメールくらいしか使わない」「新しいツールには不安がある」といった声も多く、せっかくデジタルツールを導入しても活用が進まない現場も少なくありません。
このような状況を打開するには、社員が安心して学べる環境づくりが大切です。たとえば、iPhoneが急速に普及した背景には「周囲に使っている人が多く、わからないことがあればすぐに聞ける」という心理的な安心感がありました。デジタルツールでも相談しやすい相手がいれば抵抗感が薄れ、使ってみようと感じやすくなります。
有効なのは「IT推進担当」「デジタルリーダー」といった社内の相談役を設けることです。同僚に丁寧に教えられるコミュニケーション力のある人を選び、気軽に質問できる雰囲気をつくることがポイントです。また、そうした担当者には業務としてデジタルツールを利用する機会を作り、「自分の仕事がどう楽になるのか」を実感してもらい、現場で役立つ活用法を社内に広げてもらいましょう。専門知識のある人材がいない場合には、ネリサポの「デジタルサポート相談」がサポートいたします。
DXはデジタルツールを導入するだけでは完結しません。社員一人一人が安心してITに向き合える環境づくりに取り組んでみてください。

図:中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(令和4年5月)」
※J-net21ポータルサイトから引用(https://j-net21.smrj.go.jp/qa/org/Q1460.html)
《 滝澤 暢/ 中小企業診断士 》