心に留まるお客様のエピソード
日々の販売促進を行う上で、SNSやブログ、その他広告媒体などで、文章を書く、という機会は多いのではないでしょうか?
文字の情報よりも視覚の情報の方が早く伝わるため、ビジュアルで魅力を伝えることが可能な商品であれば、写真などを投稿するのも効果的かもしれません。しかし、それだけで不十分な場合、文字でその商品・サービスの魅力を伝えることになります。
「お客様の体験談」は信憑性が高いため、多くのWeb集客媒体では「お客様の口コミ」や「レビュー」があります。しかし、ごく一部のクレームを除き、ありきたりで差しさわりがないものばかりで、中には誰かに頼まれたのか実際に来店してもいないのにあたかも体験したかのように書かれているものもあります。
そこで、ただお客様から評価(レビュー)してもらうだけではなく、もう少し読み手を感動させるような文章を育て、チラシやホームページなどに載せることはできないものかと考えます。
これまで私が感動したお客様のエピソードには以下の2つの共通点がありました。
美容室の例で考えてみます。
①「周囲はどんな反応だったのか」がわかる
「美しくしてもらえた」ということなら、周囲の反応も変わるかもしれません。
例えば、家族が自分の変化に気づき、美しくなった自分を自慢に思うようになり、一緒に出掛けることが増えた、ということなら「自分が認められた」という想いを抱くでしょう。
②「お客様は何ができるようになったのか」がわかる
例えば、髪をきれいにしてもらった結果、自信をもって面接に臨むことができ希望する会社に就職できたかもしれません。また、枝毛が気になって集中力が下がっていたのに、それを解消したことで仕事の効率も上がるかもしれません。お客様のコンプレックス、悩みを解決し、新たにできることが増えると、日々の生活も変わります。
マズローの欲求5段階説によれば、人間の欲求には「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」と5段階からなり、その順序で満たされることがあると更に高い次元の欲求が生まれてくると言われています。
①は誰かから認められたいという「承認欲求」、②は自分の理想形に近づきたいという「自己実現の欲求」に繋がるものです。
単に「居心地良い空間で、髪を綺麗にカットしてもらって技術的にも満足だった」というレビューだけで、ホッとして終わるのではなく、その後のお客様はどうなったのか、というところまで考えてみましょう。
現実問題として、このような体験談を文章としてお客様に書いてもらうのは難しいかもしれません。日々、そのような話をヒヤリングした上、エピソードになる文章を作ってみてはいかがでしょうか?
《 鈴木 香織 / 中小企業診断士 》