新規事業開発の視点①
既存事業の売上が減少し新たな事業にチャレンジしてもなかなか実現しないとお悩みの経営者も多いことと思います。
本コラムでは新規事業開発の視点から「両利きの経営」を紹介します。
1.両利きの経営とは経営のバランスのこと
「両利きの経営」は2つの利き手をなぞらえて、文字通り経営のバランスをとることを指しています。
成功した既存事業に偏りすぎ、新たな事業に注力しなかった結果、衰退し最悪倒産に至った企業を耳にすることがあります。 企業は既存事業に偏重せず、新たな事業を生み出していかなければいけません。 即ち新規事業の「知の探索」と既存事業の「知の深化」をバランスよく行う必要があるのです。このことを文字通り両利きの経営と呼びます。
下記図のように縦横の中央(図では右約45度)を行く知の探索と知の進化のバランスを取れた状態が「両利き」の状態となります。実際は多忙な中「二兎を追う」のは大変と思われる方が大半でしょう。ここからは両利きの経営を少しでも理解する視点を述べていきます。

2.イノベーションは2つの組み合わせ
イノベーションは経済学者シュンペーターが提起した言葉であり、その原点は身近なものの組み合わせにあります。これを「新結合」と呼び既存の技術と知識を組み合わせることで価値が生まれると説明しました。全く新しいものというよりは掛け合わせと考えます。 新規事業も掛け合わせで価値を生むことができますが、日々の仕事で普段から無意識に行っているケースもあります。探索はこの新結合への一歩とも考えられます。
3.人と組織の問題
同じ価値観で同じ人たちと仕事を続けると新たな発想が出にくくなります。上記の組み合わせで考えると組み合わせの“種”が固定化すると思考パターンも固定化するのが理由かもしれません。
4.「知の探索」はAIでできない
そのため、人に会い移動して異世界に触れ知の幅を広げていくことで「知の探索」は活性化します。ここで「知の探索」はAIではできないと言われています。AIは既存データーに依存しているため、偶然の出会いや目的を持った行動ができないためです。
5.オープンイノベーション
自社だけでなく外部の知識や技術を活用して新しい価値や技術を創出することが行われています。自社に足りないことは外部企業、異業種、大学等と共創していくことも組み合わせの重要な視点です。
これらの視点を総合すると、1)自社の技術などの強みを明らかにすること 2)組み合わせの探索のため視野を広げること 3)人と組織の環境作ること 4)自社に足りない点を補うことなどを、普段から意識することが見えてきます。 実行に当たっては人と組織にも絡むため、事業責任者である経営者がこれを理解し社内を牽引するリーダーシップが重要です。
以上、両利きの経営は特別なものではなく、視野を広げて事業を作り上げていくという視点をご紹介しました。売上の向上策の一つとしてご検討下さい。
《 丸山 龍太郎 / 中小企業診断士 》

