個人事業の事業承継促進の動きについて

個人事業の事業承継の手続きを簡素化することが検討されています。現在は、事業主の生前に事業承継を行う場合は、事業主の廃業届と新たに事業を承継する者の開業届を提出しなければなりません。また、原則、事業主が受けているさまざまな許認可についても承継者が新たに取得することが求められています。

これらの手続きを簡素化する方向で法改正が現在進められており、手続きが面倒・煩雑という理由で躊躇していた生前における個人事業の承継を促進します。また、子どもだけでなく孫や兄弟などの親族や従業員などへの生前承継も対象にすることを目指しており、後継者難による廃業を防ぎます。

さらに、個人事業主が子どもなどに事業を引き継ぐ際の贈与税・相続税の支払いを猶予するなどの「個人版の事業承継税制」の創設も検討されています。

ここ10年来、事業承継を促進するために税制や民法などの特例を設けるなど法令の整備が進んでいますが、主に法人を対象としたものでした。個人事業の事業承継促進にもようやく目が向けられるようになったと言えるのではないでしょうか。

《 前田 通孝 / 中小企業診断士 》