「生成AI」活用のアイデア 第3回
ビジネスメール作成における生成AI活用
仕事におけるメールの利用実態と課題把握を目的として一般社団法人日本ビジネスメール協会が行った「ビジネスメール実態調査2024」によると、仕事でメールを利用している人は1日平均で12.27通のメールを送信しており、47.83通を受信しているとのことです。
日々多くのメールのやり取りが発生している一方、同調査では約7割の人が自分のメールに不安を抱くことがあると回答し、9割弱の会社ではビジネスメールの研修が実施されていないとの結果が出ており、メールを書く力とそれをトレーニングする環境は不十分であると感じている方が多いようです。
経験上、"メール作成に時間がかかってしまう”、"1回のメールで相手先に要件が伝わらず1つの案件におけるメールのやりとりが多くなってしまう”といった、ビジネスメールを書くのが苦手な方の特徴を整理すると、下記の特徴があげられるのではないかと考えています。
【ビジネスメールを書くのが苦手な人の特徴】
- 知識の不足:ビジネスメールとしての書き方(作法)がわからない
- 要件整理の不足:伝えるべきことが整理できていない、具体化出来ていない
- 構文力の不足:要件を「書き言葉」の文章にしていくのが苦手である、主語・述語を省略して読み手が解釈に迷う文章を作ってしまう
- 構造化の不足:書きたいこと、思いついたことを頭からばらばらと書いてしまい、冗長な文章や散らかった文章になってしまう
- 想像力の不足:メールのやり取りを通じて相手先が最終的に何を実現したいか、自分が相手先にどう動いてほしいのかの想像ができていないため、1回のメールでは必要事項が伝えきれず、無駄にメールをやり取りする回数が多くなってしまう
- 不安感:誤字が無いか、内容に間違いがないか、失礼がないか不安に感じて、なかなかメールが送れない
メールが苦手ではないという方であっても、いずれかの特徴には当てはまる点があるのではないでしょうか。
今回は、きちんと伝わるビジネスメールを効率よく作成するための生成AIの活用事例をご紹介します。
メールを書くのが苦手な方は生成AIを使うことで弱点を補う事ができ、苦手ではない方にとってもメール作成時間を短縮することができますので、下記のサンプルプロンプトを参考に生成してみてください。
サンプルプロンプト
以下の内容のビジネスメールを作文して。
- 冒頭:毎月の注文についてのお礼
- 7月度分の注文に対する請求書をメールに添付している。
- 8月末までの支払いを依頼。
- 9月から原材料高騰による価格改定。
- 8月中にいただいた注文は現在の価格が適用される。
- 1回の注文数量が500以上であれば5%割引が適用できる。
- 文末:原材料価格が前年から約1.5倍になっており企業努力だけでは吸収できないため価格改定にご理解いただきたい
生成サンプル(Microsoft Copilotで生成)
件名:7月度分の請求書と価格改定のお知らせ
株式会社〇〇〇〇 〇〇様
いつもお世話になっております。毎月のご注文、誠にありがとうございます。
さて、7月度分のご注文に対する請求書を本メールに添付しておりますので、ご確認ください。
お支払い期限は8月末までとなっておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
また、原材料の高騰に伴い、9月より価格改定を実施させていただくこととなりました。
8月中にいただいたご注文につきましては、現在の価格が適用されますので、ぜひご注文ください。
さらに、1回のご注文数量が500以上の場合、5%の割引を適用させていただきますので、
こちらも併せてご検討いただければ幸いです。
なお、原材料価格が前年から約1.5倍に上昇しており、企業努力だけでは吸収しきれない状況でございます。
何卒、価格改定にご理解賜りますようお願い申し上げます。
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
このように要件をメール文面としてまとめる作業を生成AIにまかせれば、人間は「伝えること」の整理に集中できるようになりますので、日々の業務におけるメール作成に生成AIを活用してみてはいかがでしょうか。
《 高島 慎一郎 /中小企業診断士 》
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