「採択される申請書の書き方のヒントは公募要領の中にある」その2
前回の「その1」では「審査の観点」で求められていることを全て網羅することの重要性を中心にご紹介をしました。
「採択される申請書の書き方のヒントは公募要領の中にある」その1
「お客様を増やしたい」、「新メニュー開発をしたい」、「あの機械があると作業がはかどるのだけれども・・。」等、小規模事業者が自社の販路開拓や生産性向上の取組みを対象とする補助金が小規模事業者持続化補助金です。 これまで、年 […]
今回は、審査の観点を理解した上で、申請書の作成の留意点についてご紹介します。
前回同様、小規模事業者持続化補助金<一般型>第16回公募 公募要領(第13版:2024年5月8日)をもとに確認します。
公募要領の3ページには、「本補助金事業は、小規模事業者等が自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援するものです。」とあり、申請書には経営計画の記載を求めています。経営計画には、これからの事業運営方針や見通しを記載します。
では、どのような点に留意すれば良いのでしょうか?
経験や直感は必要ですが、データや合理的根拠をもとに作成することが大切です。感想文、お願い文章とならないように注意しましょう。
例えば、「①自社の経営状況分析の妥当性」については、これまで確定申告で作成してきた損益計算書や貸借対照表の数値や自社の販売実績に関わるデータ等を活用します。
「②経営方針・目標と今後のプランの適切性」における市場分析は、具体的な数値(=データ)に基づいた分析により導き出されたものが最も効果的です。データは公的機関から公表されているものがベストです。
また、要項に書かれていないことは、NGであると考えた方が無難です。よくあるのが補助対象経費の可否の判断です。ご自身の都合が良いように拡大解釈するのは危険です。どうしても判断できない時は、補助金事務局に問い合わせるのが確実です。
要求されている項目を全て網羅すると、相当な分量になります。かつての公募要領には「<経営計画>及び、<補助事業計画>(Ⅱ.経費明細表、Ⅲ.資金調達方法を除く)は最大A4縦8枚程度までとしてください。」とありました。
さらには、図や表や画像を用いて、見易い、分かり易い表現の工夫ができると完成度が高まります。労力を惜しまず作業に取り組んでください。
公募要領は、分かりづらい表現が用いられていることもあり、内容が良く分からないと感じる方も一定数います。「ガイドブック」、「参考資料」等、補足資料も用意されていますので、併せて何度も繰り返し読み返し、理解を深めて頂きたいと思います。
《 早川昌宏 / 中小企業診断士 》