中小企業診断士が巡る、練馬の街 〜テルファーム〜

今回は、ネリサポアドバイザーの熊谷が、練馬区大泉学園町にあるトマト農家「テルファーム」を訪問し、代表の加藤直輝さんにさまざまなお話を伺いました。

テルファームは、10a(100㎡)ほどのハウスで栽培をおこなっているトマト専門農家です。
ここでは、テルファームの工夫されているお取り組みについて、ご紹介したいと思います。

【事業者情報】
屋号:テルファーム
住所:練馬区大泉学園町3−17−72
業種:農業(トマト専門農家)
特徴:ミニから大玉までいろいろな品種のトマトを栽培。 樹上で完熟させた収穫したてのトマトを販売しています。

工夫ポイント①  都市農業の特徴を活かした戦略

加藤さんのご実家は農家で、ご自身も8年ほど前に親元で就農されました。しかし、ご実家は元々トマト農家だったわけではなく、ご自身の代からトマト専門農家として始められたそうです。

トマト専門農家を選んだ理由について、「トマトが好きだったということもありますが、限られた小さな農地の中で効率的に栽培できる施設園芸のトマトに注目しました」と語ります。

トマトは一つの苗から複数回収穫できることから、狭い場所でも効率的に栽培できる作物です。さらに、テルファームでは、ハウス内での養液栽培を採用しており、これにより、土壌消毒の手間や連作障害の心配を解消し、生産効率を高めています。これは、狭い都市農地でも十分な収益を確保するための工夫の一つとなっています。

ヤシガラ培土を使った養液栽培

また、テルファームのトマトの特徴をお伺いすると、樹上完熟させてから出荷しているとのことでした。地方から市場を介して販売すると、どうしても流通に数日かかるため、熟す前の状態で収穫・出荷しますが、都市部にあるという立地を活かしすぐに消費者に届けることができるため、しっかり完熟させてから出荷・販売が可能です。

くまがい

しっかりと自分がビジネスを展開する環境を分析し、都市農業の制約も利点もうまく捉えた戦略を展開されていますね!完熟の新鮮なトマトが東京で食べられるのはトマト好きの熊谷としても、とても嬉しいです。

工夫ポイント②  多品種栽培による販路拡大とリスク分散

テルファームの特徴としては、多品種のトマトを取り扱っていることも挙げられます。3品目10品種のトマトを栽培されており、10aの栽培面積に対してはかなり多い方かと思います。
多品種を取り扱うメリットは主に3つほど考えられます。

  1. さまざまな好みや用途に合わせて品種を提案できるため、顧客層を広げることができる
  2. 単一品目よりも複数品目あった方が、販売委託先や卸先で置いてもらえる総量も増やしやすい
  3. 病害虫や天候不良等のリスクに対しては、単一品種よりも、多品種にしていた方がリスク分散にもなる
くまがい

お客様目線では、好みや用途に合わせて選べるトマトの品揃えで購入の機会が増えそうですし、食べ比べなんかもしてみたくなりますね。また事業者目線では、リスク分散と販売効率化のメリットがあります。

工夫ポイント③ 地域とのつながり・連携を活かした改良の姿勢

加藤さんは、東京都内や練馬区内の農家さんとも交流を図られており、情報交換をしています。トマト栽培に関する知識やノウハウもまだまだ学びたいとのことで、積極的に情報交換や勉強の機会にも参加されているそうです。

また、東京都や練馬区の支援策も上手に活用されています。補助金等の活用はもちろんのこと、テルファームの素敵なロゴやパッケージデザインも、農業向けの販路開拓支援の制度を活用してデザイナーさんと作成されたそうです。また、ねりまの農サポーター制度の活用を通じて人手を確保したりと、地域との強い連携、良好な関係を構築されています。さらに、外部の栽培コンサルタントの視点も取り入れながら、より良いトマトの栽培に向けて日々改善を重ねています。

ロゴ入りのオリジナルパッケージ
くまがい

自社にない技術やノウハウは、外部の力を上手に借りるというのも、ビジネスを継続していく上では大切なポイントです。また、自社に役立つ支援策もどんどん活用するとよいですね!

みなさんの事業でも、テルファームの工夫の要素を取り入れられるかもしれません。

  1. 自社がおかれている環境をしっかり分析し、それを踏まえた戦略を立てる
  2. 販売先が喜ぶ商品・サービスのラインアップと、自社のメリットのバランスを考える
  3. 地域や外部のサポートも十分活用して発展させる

ぜひ参考にしてみてください。

さまざまな視点から進化を続けるテルファームのトマト、今後の発展も楽しみです!

熊谷 友貴 <アドバイザー>

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