企業が重視する経営上のリスク

『企業が重視する経営上のリスク』で、「労働・雇用問題」が昨年度はじめてトップとなりました(東京海上日動リスクコンサルティング調べ)。前々回の平成25年度は5位、前回の平成27年度は4位、それが平成29年度には一気に1位になったのです。

 従業員を雇い入れるということは、かつては「コスト」と考えられていました(今でもそうだと思います)が、この調査結果では「リスク」だといっています。では、コストとリスクの違いは何でしょうか。

 まず賃金や法定福利費など、費用の計算が成り立つものがコストとして挙がります。

 では、リスクとは?たとえば、業務上の原因で従業員がケガをしたら、病気になったら、万が一、死なせるようなことがあったら、会社はいくらのお金を用意することになるのか。

また、先般の報道のように、有給チャンスクイズなどと間違ったことを管理職が勝手にやってしまい、それが世間の知るところとなれば、そのイメージダウンによってどれほどの損害が発生するのか、まったく見当もつきません。そのように計算が成り立たないものがリスクではないでしょうか。

 正しい労務管理や従業員の健康・安全を日頃から心掛けて、無用なリスクを回避するようにしましょう。

《 馬場 一成 / 特定社会保険労務士 》