忙しい起業者のためのスケジュール管理
1. 「時間が足りない」の正体
起業者(起業準備中の人も含む)は、起業するためにさまざまな業務をこなさなければならず、多忙を極めることがあります。具体的には次のような業務が挙げられます。
- 事業計画の策定
- 資金調達
- 会社設立(開業届)
- オフィス・店舗などの確保
起業したばかりで従業員を雇う余裕がない場合もありますが、自分が起業する事業だから自分がすべてをやりたいという場合もあります。どちらにしろ、起業者は、事務的な手続きから、資金調達、関係者との契約締結まで、商品・サービスの提供以外の業務でも奔走しなければならないものです。
どの人にとっても1日は24時間しかありませんので、時間が足りない場合には、誰かに依頼してもいい業務は家族などに代わりにやってもらいながら、自分の時間を賢く使うしかありません。本コラムでは、どのようにしたら時間を効率的に使うことができるかについて提案します。
2. 手帳・Excel・カレンダーの限界
私自身も中小企業診断士になりたての頃、複数の組織・団体から仕事をもらうようになり、ダブルブッキングをしたことがありました。また、余裕のあるつもりが、面談後に報告書を書く時間を取ることができず、平日夜や土日に仕事をして、その後の仕事のリズムが狂い、結局、仕事の質も効率も下がることがありました。その状況を打開するため、Excelでガントチャートを作成してみたり、Googleカレンダーに作業時間も入力してみたり、いろいろと試してみたことがあります。しかし、ExcelファイルやGoogleカレンダーの更新が面倒なこと、そして、スケジュール上では作業時間を確保していても、突発的な仕事が発生すると予定していた作業が後回しになり、結局、効率的な働き方の実現は難しかったです。このような経験から、スケジュール管理は更新や確認の手間ができるだけかからない形で行うことが重要と気付きました。
3. 予定は「前後」もセットで確保する
もう1点重要なことがあります。商談や面談など人と会う予定に関しては、前後の作業時間をしっかり確保することです。面談や商談は、その前の準備、その後のフォローアップ(報告書・お礼連絡・宿題の回答など)が必要なことが多いため、あらかじめこれらの時間もあわせて確保するようにしましょう。前後の時間を確保しておかないと、準備の時間が足りなくて十分な結果が得られなかったり、フォローアップのために睡眠時間を削ることになったり、フォローアップを忘れて商談が立ち消えになったりする可能性があります。
4. 実際に効果が期待できる仕組み
忙しい起業者が限られている時間のなかで、できるだけ効率的に業務を片付けるための仕組みを以下に提案します。業種や生活スタイルによっては効果が限定的かもしれませんが、まずは試してみて、ご自身にあった形に少しずつカスタマイズしていくとよいでしょう。
【手順】
- 手帳、Googleカレンダー、Outlookカレンダー、iOSカレンダーなどスケジュール管理を行うツールを決める。(詳細は後述)
- 手帳もしくはアプリなどで、ToDoリストを作る。
- 現時点で決まっている予定をすべて入れる。人と会う時間だけでなく、その前後に必要な作業の時間、移動時間、プライベート時間などできる限り入れる。
- 予定やタスクが入る度に、手帳もしくはデジタルカレンダー、ToDoリストを更新する。
- 予定していた時間内に作業が終わらなかった場合は、その旨をメモしておく。(週の見直しの際に使います)
- 週に1度(例. 日曜日の夜、月曜日の朝)、スケジュールを見直す。手順5でメモした作業については、今後の時間配分を増やす。ToDoリストに入っているタスクをスケジュールに追加する。
【ツールの選び方】
スケジュール管理には、紙の手帳の方が取り扱いやすい人もいれば、デジタルツールの方が楽という人もいます。ご自身の使いやすいものを選択してください。手帳の場合は何でもそこに書くことはできますが、デジタルカレンダーの場合、ToDoリストを記録しておくアプリを用意するとよいでしょう。ToDoリストは、専用アプリではなく、テキストエディタやメモ帳アプリなどに書き溜めるだけでも構いません。一人で全部抱えがちな人は、ChatGPT、Claude、Geminiなどのチャット型AIに「今週やることを整理して」と相談するようにしてみてください。
5. 今日から始めてみよう
まずは普段、スケジュール管理をしている手帳やデジタルツールを使って始めてみましょう。もしかすると、1日24時間では、すべての業務はできないことに気付くかもしれません。それでいいのです。時間が足りないことがわかれば、自然に優先順位を付けて仕事をすることになります。完璧を目指さず、今より少し良い状態を作ることを目指してみてください。
《 岡本 麻代 / 中小企業診断士 》

