データを見るときは中心だけでなくバラツキも

平均値は、データの集まりを1つの数値で表現する際に最もよく使用される指標です。しかし、平均値はあくまで「中心」を示す指標であり、データ全体の特性を正確に理解することは難しくなります。そこで合わせて重要になってくるのが「バラツキ」です。例えば、同じ平均値をもつ2つのデータセットがあるとします。1つはほぼすべての値が平均値近辺に集中しているもの、もう1つは極端に高い値と低い値が混在しているもの。これらの平均値は同じでも、その性質は全く違ってきます。

このように、平均値だけを見てデータを判断すると、重要な情報を見逃すことになります。例えば、バラツキを理解することで、データがどの程度広がっているか、またどの程度一貫性があるかを知ることができます。製造業であれば、品質管理において製品のバラツキを把握することは必須です。バラツキが大きいということは、製品の品質が一定でない、つまり品質管理が適切に行われていない可能性を示しています。一方、投資においては、バラツキはリスクを表します。そのため、投資家はバラツキを理解し、そのリスクを適切に管理しなければなりません。

このようにバラツキを理解し、それを適切に利用することで、より正確で有効な判断を行うことができます。

《 平林丈晴 / 中小企業診断士 》